待合室で読んでいた本は、向田邦子著 父の詫び状 文春文庫。著者は1975年に乳癌がみつかり、TVドラマの脚本を休止。術後に右手が動かなくなっていた時期に「銀座百点」からの依頼で書き出したエッセー集です。なんだか死の影が忍び寄っているような短編が並んでいる。
突然!「俺はな!血液検査などやらない!俺はな!貧血だ!これを見ろ!」と。オイラの隣に座っていたおじさんが看護師に細かく折りたたまれた検査結果用紙を見せた。「貧血ぎみですが数値は悪くないですよ!」「俺はやらない!医者に貧血だから血は抜くなと言われている」「きょうの血液検査をしないと分からないでしょう」となだめるが採決をやってください!いや!やらないで、口ケンカになりかけた。「医者に聞いてこい!俺はやらん」と言われて看護師は引っ込んだがすぐに戻ってきた。
「今日はおかえりください」と言われたら「やらない!おじさん」は「それみろ!俺はなぁ貧血なんだ!」さっさと帰っていった。「やらない!おじさん」は、きょうは何のために診察に来たのだろう。椅子から立ち上がった時にセーターは背中が擦り切れて破れていてズボンも裾がボロボロ。一人暮らしなんだろうか?病院は診察料金を請求したのか?「やらない!おじさん」は、本当にどこが悪くて診察をしてもらいに来たのだろ?体が不調を訴えて来院したのだろうに、すんなり帰ってしまうなんて奇妙だ。認知症なんだろうか?
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